社会問題への探究心を育む本物の学習(文京大女子中高の取り組み)

東京都文京区に、子どもたちの探究心・追求心に火をつける取り組みを行っている文京大女子中高がある。この学校では、歴史ある国際教育に加え、文部科学省が特色ある学校として認めるSGH(スーパーグローバルハイスクール)やSSH(スーパーサイエンスハイスクール)に認定されている。単なる国際交流・文化交流や体験に留まらない、本気の追求が行われている。

この仕掛け役は、各教科の先生たち。学校の明確な目標設定を行えるようにと、文部科学省の認定を大きな課題とした。学校トップも「それなら、やってみろ」ということで、先生たちは夜を徹して教育内容の見直しや申請書類の作成に取り組んだ。当初は「本当にうちで認定されるのだろうか」という疑念もあったようだが、やってみたら、まず生徒が大きく変わった。それを原動力とし、平成24年度には、都内の女子高初のSSH・SGH認定を実現。そして、その認定を機に、先生たちも一段と元気になり、教育の中身を充実させ続け、今や、女子中高とは思えない研究者顔負けの探求力を養う教育にまで高度化している。

教育の成果は、学校の廊下を歩くと一目で分かる。
彼女らが追求した成果品がボードとして掲示されており、中には全て英語で記載された高度な研究内容もある。そして、最近注目されているアクティブラーニングを行う大きなBAL Studioのホワイトボード一面には、生物の「代謝」原理の図解化を元に議論がなされている。彼女らの対象は、受験勉強という狭い枠組みから脱し、社会や自然の摂理といった、より普遍的な社会問題・環境問題にある。彼女らが直面しているのは、まさしく、日本や世界が今、求める答えなのである。

コース内容は、6 年間を4区分で段階的に目標が明確になるように構成。そこでは、何のための勉強か?を問い、そのための授業目標を設定し、夢をはっきりさせることを目標にしている。常に、「君の興味はどこ?」と問いかけることが重視されている。中1ではファンダメンタル・ステージがあり、ここで、興味・目標の設定の仕方、モチベーションの上げ方、追求の仕方を学ぶことができる。

授業では、能力アップカリキュラムが実践され、生徒自らが課題設定を行い、チームで教科横断的に追求することで、生徒の課題追求活力をあげている。
中学生の研究では身近な事象への興味関心の分析に留まる研究も見受けられるが、それでも食品・化粧品の研究が多く、社会全体の健康や食品に対する不安感が追求の動機にある。高校生になると、興味関心が、医学・理学・薬学・生物学などの分野に繋がり、社会貢献にまで発展しようとする課題設定が多数あり、目覚しい成長が見て取れる。

追求過程では、課題難度が高いので一人では無理で、チームで追求する必要がある。それが、みんなで追求することの楽しさにつながっており、仲間と一緒に何かを実現できる基盤となっている。このとき、必然的に高校で学習する内容を越えた部分もあるが、生徒が捉えた興味・関心を、教員が原理追求まで深く掘り下げるように自考を促す指導を行うことで、生徒は高い成果を上げている。そして最終的には、これらの成果を英語で発表しており、サイエンスと国際化といった重要な課題の連携を果たしている。

自分たちを取り巻く社会の不整合感を発端に、言葉になっていない潜在的な意識で捉えた興味・関心から発生する身近で具体的な疑問から入り、さらに自然科学的な追求プロセスを経て深化させている。これが、社会(≒誰か)の役に立つための勉強がしたいという意識潮流に合致したカリキュラムが展開されている。

 

 

 

白海豚

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