集中力を育む「モンテッソーリ教育」の本質

■子どもは自分の「伸ばしたい能力」を知っている

モンテッソーリ教育は、マリア・モンテッソーリ(1870~1952)という、女性医学者・科学者によって、イタリアで始められた教育法です。今日では、欧米で3割の子どもが何らかの形でこの教育を受けているといわれています。

マリア・モンテッソーリは、すべての子どもは、「自らを伸ばす力(自己教育力)」を持っていると考えました。そのため、大人が子どもに「教える」のではなく、大人はあくまでも「サポート役」に徹することを求めます。私たちはともすると、子どもを教え導きたくなるものですが、そこをぐっと踏みとどまり、子どもの自分で伸びる力を信じ、そのための環境を整える役割に徹する。それがこの教育法の根底に流れる精神です。

小さくても、子どもは自分の伸ばしたい能力に気づいています。そしてその能力を伸ばすために、大人から見ると「なんで?」と思うような行動をとったり、同じことを何度も繰り返したりします。

たとえば「急いで!」といくら言っても急がない。いつもと違う道で帰るとかんしゃくを起こす。毎日同じ服を着ようとする、お友達におもちゃを譲ることができない……。これら日常の「事件」は、1歳半から3歳の間に多く現れ、大人はこれを「イヤイヤ期」と呼んでいます。しかし、これら大人にとっては「困った行動」の裏には、子どもが大きく成長するためのヒントが隠されているのです。

私たちはこの時期をイヤイヤ期ではなく「敏感期」と呼んでいます。「敏感期」自体は、子どもの成長を通じて長い間続きますが、その特徴がいちばん表に現れるのは、人生最初の6年間です。そして言葉を話し始める頃のイヤイヤ期と重なる時期が、敏感期の中でも親子の衝突がいちばん生じやすい時期となります。

■敏感期に「同じことを繰り返す」ことで、集中力が育つ

自分を伸ばす活動に、一生のうちでいちばん「敏感」になるこの時期、子どもはその能力をどんどん形にしていきます。しかし一方で、親がそれと気づかずさまざまなことを「ダメ!」と禁止するのもこの頃です。それは、子どものためによかれと思って、反対に子どもの大切な才能の芽をせっせと摘んでいるようなもの。まずは親が子どもをよく観察し、子どもが何に敏感になっているかを知ることが必要です。

ちょうど2歳になるコウタ君。保育園に入るときに、ママに抱っこをしてもらい「ピンポン」をするのが日課です。ある日、会社に遅刻しそうになった母親がインターホンを押したところ、突然かんしゃくを起こし、地面に転がり泣き叫びだしました。母親も真っ赤な顔をして「もう遅刻だわ!」と怒っています。いったいコウタ君に何が起こったのでしょう。

この時期のコウタ君は「秩序の敏感期」にあって、毎日の「習慣にこだわる」ことを通して、秩序を身に付けようとしていました。この敏感期にあたる子どもは、いつもと違うことが許せません。ですから突然の予定変更、この場合「今日だけはピンポンできない」というのは、無理なのです。

この時期に「同じことを同じように繰り返す」ことで、子どもは「集中して同じことを行う力」を身に付けていきます。これは将来、物事を集中して行う力、すなわち集中力につながっていきます。

モンテッソーリ園の特徴の一つに、「お仕事」と呼ばれる活動があります。ここでは、工作、手作業、家事など、その子の好きなことを好きなだけしていいのです。

藤井四段は「ハートバッグ」と呼ばれる工作をし続けたといわれますが、工作だけでなく、木の玉にひもを通したり、縫い物をしたり、トングをつかって銀杏を移動させたりと、自分で選んだ好きな「お仕事」ができます。

3歳のハルト君のお気に入りの「お仕事」は、腕輪作り。2センチほどに細かくカットされたストローを、ビーズのように、ひもに一つひとつ通して作ります。

5月の初めには、なかなかうまくストローに通せなかったのですが、8月になる頃にはストローとストローの間に、小さな紙の飾りを入れられるようにまでなりました。この間、ハルト君が作ったストローの腕輪は100を軽く超えています。

普通、工作の時間というのは、今週は折り紙、次の週は粘土、その翌週はお絵かきなど、どんどんテーマが変わります。しかし、モンテッソーリ園の「お仕事」に関していえば、「その子が好きなことを、好きなだけ」することができるのです。これは大きな違いだと私は考えています。

同じものを集中して作り続けることで、ちょっとした違いに気がついたり、自ら違いを考え出したりすることができるようになります。同じように見えるハルト君のストローの腕輪ひとつをとっても、昨日は「寒色ベース」の色の組み合わせ、今日は「グラデーション」など、本人なりに非常に細かい工夫をしています。これは自分の好きなものを、延々と作り続けているからこそ生まれる工夫です。このように徹底的に好きなことをすることを通じて、子どもは集中すること、好きなことにのめり込むことを、「体験として」学んでいくのです。

■敏感期に、生きるための「型」を身に付ける

敏感期とは、武道でいえば「型」を身に付ける時期です。「集中しなさい!」と親がいくら言っても、集中した経験を持たない子は、何においても集中することができません。つまり「集中するという型」を、この時期に体を使って身に付けた子は、集中するということがどんなことかが、教えられなくてもわかるのです。それが将棋に向かうこともあれば、運動に向かうことも、勉強に向かうこともあります。

敏感期がとりわけ大切なのは、大人がただ教えるだけでは身に付けることができない、さまざまな生き方の「型」を、身に付けることができる時期だからです。しかし、親がそのことを知らなければ、「ピンポン」ができず泣き叫ぶわが子に向かって、「ワガママ」「言うことを聞かない」などといって、しかってしまうことでしょう。

「習慣にこだわる」敏感期にある子どもには、「同じことを、同じように」させてあげることが大切。冒頭のコウタ君であれば、いつもどおりに「ピンポン」をさせてあげることが親の役割です。なぜなら、それが親が「習慣の敏感期」の子どもにできる、唯一のサポートだからです。

引用:リンク

 

 

 

 

中 竜馬

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