スマホによって道徳感がかわる

スマホユーザーはPCユーザーと比べて理性的で非感情的な意思決定を行う傾向にあるという研究結果(英研究)(リンク)より引用します。

英シティ大学ロンドンの研究によると、スマホユーザーはPCユーザーよりも合理的かつ非感情的な決定を行う傾向にあるそうだ。

本研究は、デジタル世代の道徳的な判断を取り上げた先駆的なものである。これによれば、ジレンマのある状況における道徳的な判断は、その人のデジタル環境に影響を受けるらしく、私たちとコンピューターとの付き合い方について重要なことを示唆しているという。

■義務論的判断と功利主義的判断
道徳的な判断がスマホとPCにいかに影響されるのか調査するために、1,010人の被験者が集められ、”トロッコ問題”というよく知られた道徳的ジレンマにおける行動を質問した。これは、「ある人を助けるために他の人を犠牲にするのは許されるか?」という倫理学の思考実験である。

道徳的判断は大きく義務論的判断と功利主義的判断に分けられる。

義務論的判断は、一般に自動的あるいは直感的な反応であり、ジレンマの感情面によって促される。一方、功利主義的判断は、非感情的あるいは合理的/制御された考察の結果であり、予測される結果を意識的に評価することでなされる。

別の言い方をすると、義務論的視点は道徳規範あるいはルール(法律など)と一致するかどうかで行動を評価し、功利主義的規範は帰結に基づき行動を評価する。

■トロッコ問題とは?
トロッコ問題とは次のようなものだ。線路を走るトロッコがある。線路の前方に作業員5人が縛られており、動けないでいる。このままでは轢き殺されてしまうだろう。あなたはたまたま分岐器のそばにおり、レバーを引けばトロッコの進路を変えることができる。しかし、その別の進路の先にも人が1人いる。トロッコがそちらへ進めば轢かれてしまうだろう。

ここで被験者は「何もしない(5人が轢き殺される)」か、「レバーを引く(1人が轢き殺される)」か選ばなければならない。 

実験では、次にような派生バージョンにも回答してもらった。

前回と同じく、線路の先に5人がおり、このままではトロッコに轢かれてしまう。今回、あなたは線路を見下ろせる歩道橋におり、隣に太った男が立っている。もし太った男を線路につき落とせば、トロッコを止めることができる。

どちらの問題でも被験者は1人の命と引き換えに5人を救うかどうか決めねばならないが、レバーバージョンでは非感情的で、太った男バージョンは感情的だ。

被験者にこの問題を質問した結果、太った男を犠牲にするとの回答(功利主義的反応)は、スマホユーザーが33.5パーセント、PCユーザーが22.3パーセントだった。

レバーバージョンでは、1人を犠牲にするとの回答率の違いは縮小し、スマホユーザーが80.9パーセント、PCユーザーが76.9パーセントだった。

また問題への回答に10秒の制限時間を設けた場合、功利主義的な反応が見られる傾向にあった。つまり時間的プレッシャーがある状況においては、二者択一的状況において功利主義的意思決定が促進されたということだ。

■スマホユーザーはより非感情的かつ合理的な決定をする傾向
こうしたジレンマへの回答を見ると、スマホユーザーはより非感情的かつ合理的な決定をする傾向にあることが窺える。その原因として、PCと比較した場合、スマホの利用ではしばしば時間的プレッシャーが増し、さらには心理的な距離が増すからではないかと専門家は推測する。

人付き合いから仕事や買い物まで、私たちの日常の様々な部分がオンラインで送られるようになった。そうした状況が人々の道徳的意思決定を変化させる可能性があるのであれば、無数の人々が日々スマホを使うことの影響を慎重に考察しなければならないだろう。

村田頼哉

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