斜陽の「そろばん塾」がにわかに増えた舞台裏-「右脳を鍛える」をウリに、500教室を突破-

(以下引用)―――――――――――――――――――――――――――
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一昔前にはどの街でも見かけた、そろばん教室だが、近年めっきり姿を消してしまった。1986年に1万3010教室あった(事業所統計調査)ものが、2014年時点で6753教室に減っている(総務省経済センサス基礎調査)。
しかし、口コミだけで全国532教室に広がっている異例のそろばん教室がある。現在、全国で1万人以上の生徒が通う「そろばん塾ピコ」だ。
ピコはそろばん塾の看板を掲げているが、「そろばんのプロ」を育成することが目的ではない。「そろばんの学習で右脳を鍛え、IQを高める」ことを目指しているという。そのため、昔からある街のそろばん教室のように、そろばんそのものの技術向上や有段者育成を目指さない。
ピコに通っている主な生徒層は、幼稚園の年長生から小学校2年生の子どもたち。週2回1コマ50分の授業でそろばんの基礎を習い、ある程度習熟したらフラッシュ暗算を追加で10分学ぶことができるという、独自の教育プログラムを展開している。
3年ほどで取得できる2級の検定取得を目標としているが、飽くまで2級を取得するまでの過程で、自然と右脳を使って計算・暗算力が鍛えられ、受験勉強の下準備ができるためだという。

■京大生の習い事の2位は「そろばん」
ピコを創業したのは、現役の京都大学生が提携塾を通してインターネットTV電話で個別指導をする、「京大個別会」の代表者・孝橋一(たかはし はじめ)氏だ。孝橋氏がアルバイト講師の京大生120人にアンケートを取ったところ、習い事の1位がピアノで、意外にも2位がそろばんだった。
3位の水泳を上回り、半数に当たる約60人が幼少期にそろばんを習っており、その多くが2級取得者だったことに着目。そろばんが右脳を活発化させるという研究成果も出てきたことから、全国のそろばん教室を見学・研究し、2007年にそろばん塾ピコを開設した。

当初は、「衰退産業のそろばん教室がうまくいくわけがない」と、融資の相談に行った銀行には門前払いをされたが、「京大生の半分が経験した習い事」をうたったチラシを打つと、無名のピコにすぐに40~50人の生徒が集まった。
2校目で、運よくそろばん10段の資格を持つ大学生のアルバイトを採用でき、指導方法などのノウハウを確立。京大個別会で提携していた塾からの要望があり、2009年にそろばん塾ピコの商標と指導ノウハウを他校に提供するフランチャイズ(FC)展開を本格的に始めた。
ピコが急拡大した背景には、加盟しやすいFCのパッケージがある。加盟の際に必要なのは、加盟金30万円(既存の教室の紹介があれば15万円)だけ。商標やノウハウの見返りに、ピコ本部へ支払うロイヤルティは1教室あたり月1万5000円と低額だ。
さらに2校目以降を開設すると、すべての教室のロイヤルティが減額される仕組みを導入している。インターネット上で受けられる塾長・講師の研修は、何度受けても無料としている。
生徒からの月謝は週2回の授業で5000円~6000円を目安にしているが、加盟者が自由に設定できる。
そろばん経験があればパートの主婦でも教えられることから、講師の採用ハードルも高くない。教室として公民館やレンタルルームなどを借りられれば、個人でも始めることができるという。

■独自の検定試験を毎月実施
では、ピコの本部はこれだけでどう収益を上げているのか。実は、日本商工会議所珠算能力検定試験とレベルを合わせた独自の「ピコ検定」を本部が毎月行っており、FCの教室で検定を受験する生徒が増えれば増えるほど、検定料が本部に入る仕組みだ。
ピコはこれまで加盟教室募集の広告などを打ったことがなく、本部のホームページすら存在しない。京大個別会で提携していた約60の塾から始めたのが、口コミで広がり、現在は法人・個人を合わせて200程度の加盟者に広がった。全国で532あるそろばん塾ピコの大半が直営ではなくFCによる運営だ。
塾業界は受験生ビジネスに振り回されやすく、特に地方の塾は競争激化で生徒の争奪戦となっている。加盟者の中心である地方塾は、ピコを兼営することで空いた教室の稼働率を上げ、将来受験生となる未就学児~小学生を取り込めるメリットがある。
孝橋氏は、「経営不振にあえぐ地方の塾の駆け込み寺のようになっている。毎月10~20校のペースで教室が増え続けており、今後3年内に1000教室を突破できる」と話す。現代のそろばん塾の勢いはまだまだ止まらなそうだ。

穴瀬博一

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